酒田地区私立幼稚園・認定こども園連合会主催 令和元年度教育保育研究会
<夏季研修会>
「子どもの主体的な排泄自立とは?おむつに頼りすぎない保育」が目指すもの
おむつなし育児研究所 所長 和田智代先生のお話から
私たちは「早寝」「早起き」「朝ご飯」、「食う」「寝る」「遊ぶ」などのキャッチフレーズで、日々の生活習慣の改善をめざしています。しかし、もう一つ、とても大切なことがあります。
それは、「排泄」です。子ども達は給食をいただくと、数分後にもりもりバナナうんちが出ます。そんな姿を見るにつけ、生きることの根本に「食べること」そして、「出すこと」があるということをあらためて思い知らされます。
そんな中、私達は酒田地区私立幼稚園・認定こども園連合会主催の令和元年度教育保育研究会<夏季研修会>で「おむつなし育児研究所」所長 和田智代先生による講演「おむつに頼りすぎない保育」についてのご講演をお聞きしてきました。内容のあらましをご紹介いたします。
近年、欧米では小中学生になってもおむつが外れない子どもが増えてきているそうです。それは、日本でも全国各地でみられるようになった現象で、小学生になってもおむつが外れない子どもやおもらしをする子ども、重くなった紙おむつで腰痛を訴える子どもなど、排泄にかかわるさまざまな問題が出てきたそうです。
一体、何がおきているのでしょう。
おしめを取り換える時、赤ちゃんからピューッと勢いのよいおしっこをかけられたというご経験はありませんか。本来、人は、開放空間で小便をすることで開放感を感じ、「ためて」「出す」という感覚が養われていくそうです。確かにおむつは便利で安心です。けれども、長時間そして、長期間おむつをつけ続けることは、排泄を自らコントロールする感覚を鈍らせ、頻尿やおもらしや便秘などのリスクにつながるということを改めて認識させられました。
けれども、そうは言っても、今の生活からおむつをなくすことは並み大抵なことではありません。では、どうしたらよいのでしょう。
思案する私たちに講師の先生は、「一人ずわりができるようになったら、おしめを外してしばらくオマルに座らせてください。時間はわらべ歌を一曲歌い終わるまでを目安にするとよいですよ」と、力強いアドバイスをくださいました。その間、おしっこは、出ても出なくてもいいそうです。チャレンジを開始する時期は0歳がベストで、おしっこはおむつに出すという感覚を身につけないうちがよいとのことでした。
和田先生はおっしゃいました。「元来、気持ちよく排泄するという生理現象は人の体に心地よく、排泄することで私たちは気持ちよくこの世に存在している幸せを感じています。『うんち、出たねー』という言葉かけは、生きていることをそのまま認める言葉かけです。このような言葉かけは赤ちゃんに幸せを実感させ、自信や社会性や忍耐力を育むことにつながります」と。
この度の講演を契機に、「排泄」が人に与える影響の大きさに改めて気づかされました。私たちは、子ども達の幸せのために、ご家庭の皆様とご一緒に「食う」「寝る」「遊ぶ」そして、「出す」の習慣づけを頑張りたいと思います。